品種茶の世界を楽しむ
緑茶用主要品種
やぶきた
日本全国の約8割の茶園で栽培されており、現在もっとも普及率が高く、日本茶の代名詞的な存在となっています。
やぶきたは、杉山彦三郎氏が明治の末期から大正年間にかけて選抜した品種であり、
杉山翁は、現在の静岡県静岡市清水有度の竹やぶを開墾し、集めたお茶の種子を蒔いて茶園をつくりました。その中から2本の優良系統を選抜し、やぶの北側に植えたものを「やぶきた」、南側に植えたものを「やぶみなみ」と命名。その後やぶきたは1945年に県の奨励品種に選定され、1953年には農林省登録品種に指定されました。
総合的に優れた品種で、甘みのある濃厚な滋味と優雅な香気が特徴だといわれています。
さやまかおり
1971年に登録されたやや早生の品種で、品質面では、香味が強く、特に濃厚な香気が特徴で、カテキン含量の多い品種です。 栽培面においては、寒さに特に強い品種です。
埼玉県茶業試験場で育成されました。
めいりょく
干ばつなどのストレスに強く、丈夫な中生品種。 味にくせがなく、すっきりとしていています。香りもさわやかで、色沢も明るくてきれいです。栽培面においては、樹勢が強く、茶の芽の伸び、揃いがよく、安定した収量があります。
さえみどり
早生の品種で、品質面においては、外観は、色沢が明るい冴えた鮮緑色で、香気は上品な芳香です。滋味は、渋味が少なく、うま味があります。栽培面においては、早生品種の宿命ですが、晩霜害を受けやすく、その後の回復もよくありません。
おくみどり
萌芽期が「やぶきた」より十一日、摘採期が八日遅い晩生の品種で、製造された茶の形は、細く寄れて、色は濃緑色で香りはさわやかですっきりしていて良好です。栽培面においては、樹勢が強く、樹姿は直立型です。晩生で耐寒性が強いので、山間地や霜害を受けやすい地帯にも適します。
かなやみどり
1970年登録された品種で、ミルクを連想させるような甘い香りが特徴の中晩生品種。静岡県金谷にある、現在の野菜茶業試験場で育成されました。
つゆひかり
萌芽期及び摘採期が’やぶきた‘より二日程度早いやや早生種です。樹姿は中間型で、株張りは大きく樹勢が極めて強く、新芽は芽重型で多収性です。一番茶の品質は、色沢が明るい緑色を示し、水色は明るく良好で深蒸し傾向にすると、きれいな緑色傾向を示します。香味は特徴あるさわやかな香気を有し滋味は温和です。
おくひかり
「やぶきた」より五~六日遅い晩生種であり、樹姿は直立型で、樹勢の強いものです。成葉は長だ円形で大きく、葉色は光沢に富んだ濃緑色です。摘採期の新芽は芽重型で、収量性は「やぶきた」並です。品質面においては、外観の形状は、剣のたった堅く締まった茶となりやすく、色沢は濃緑で冴えた光沢があります。内質の香気は、「やぶきた」とは異なった個性的な香りを持ち、水色は明るく、力があり極めて良好です。滋味は、水色の割に少し渋みが出ますが、山間地ではソフト化されます。